命令のブロックでキャラクターを動かす、ScratchJr(スクラッチジュニア)

本書は、MITメディアラボが開発したScratchJr(スクラッチジュニア)というプログラミング教育のアプリの入門書です。
絵を描いて動かす、という基本の考え方はビスケットとも共通しています。
子どもは、自分が描いたり選んだりした絵が動き出し、物語を作っていく体験を楽しみながら、試行錯誤を繰り返して自分の思った通りにキャラクターを動かす方法(=プログラミング)を学んでいきます。

ScratchJrの大きな特徴は、直感的に動きがイメージしやすい「ブロック」を画面上でつなげることで、キャラクターへの命令(スクリプト)を作ることです。
動き始めの条件を決めるブロックは黄色、動く方向や動き方のブロックは青、繰り返しやストップ、他キャラクターへの連携などの制御はオレンジといった色分けと、ブロック内の矢印やサインによって、キャラクターへの命令の種類が理解しやすくなっています。
また、それぞれのブロックには、「何マス動くのか」「何秒待つのか」といった数字が設定できるようになっています。
これらを組み合わせて背景やキャラクターを思い通りに表示し、動かすことで作品を作っていきます。

ストーリー仕立てで、子ども読者にも語りかける

本書では、「にゃ~こ」という5才のネコが、「じゅにあ」という宇宙人にScratchJrの使い方を教えてもらうという設定で、アプリの使い方やプログラミングの考え方の説明が進みます。
単なるアプリの使用マニュアルではなく、アプリのインストールには必ず保護者の許可を取ることや、休憩を取りながら明るい部屋で使うことなど、ScratchJrをきっかけに、これからタブレットやインターネットを使っていく子ども達への配慮がストーリー中に出てくることも、興味深いです。

子どもや初心者には難しく感じる専門用語も、例えば「プロジェクト」を「作品」、「タップ」を「指で軽く『ぽん!』」と言い換えて説明したり、「スクリプト」という概念を劇の台本になぞらえて説明したりしている点は、本書を読んだ大人が子どもに説明する際にも大いに役に立ちそうです(一方で、本文は全てひらがななので、大人にはすこーし読みにくいですが)。

大人の読者には、後半のまとめページが便利

本書の後半には、命令ブロック一覧と、それぞれのブロックの機能を試せる見本や、お誕生日メッセージ、ボイスメッセージなど、日常で使えるテンプレートが掲載されています。

機能としては子ども向けのストーリーの中で少しずつ紹介されているものがほとんどですが、まず全体を把握したいという大人は、これらのまとめページで、ScratchJrを使ってできることを俯瞰した後に、本文のストーリーや課題に挑戦していくとより理解しやすいかもしれません。

大人と子どもが一緒に学べる本

各ページの「おうちのかたへ」コーナーでは、子どもへの声かけ例や、より詳細なTipsも紹介されています。
所々に大人から子どもへのメッセージを記入する欄も準備されていて、子どもと一緒に本書を読みながらタブレットを動かしてみて、隣の子どもに声をかけながら進めていくことが強く意識されているようです。

実際に小学校1年生の子どもと試してみると、キャラクターや背景の素材を作るペイントエディターで妖精や魔法使いの服の色を変えたり、自分の顔をキャラクターに使ったりしながら紙芝居のようなアニメーションを夢中で作っていました。
本に書いてある通りの作品ではなくても、説明を参考にしながらどんどん新しいアイディアで表現していけることが楽しくて仕方がなかったようです。

本書内で紹介されているあみだくじやジャンプゲームといった比較的処理が複雑な作品では、プログラムが思い通りに動かない経験、それを試行錯誤して解決していく経験が積めるよう設計されています。
遊びの中で学びを深める態度や行動も促してくれているように感じました。

ブックデータ

出版社 日経BP社
著者 橋爪 香織 (著),‎ 谷内 正裕 (著),‎ 阿部 和広 (監修)
発売日 2014/10/15
ISBN 9784822297619
価格 1,836円(税込み)
仕様 B5変・128ページ

出版社による解説はこちら  ※もくじと正誤表が閲覧できます
Amazonの掲載ページはこちら
ScratchJrのWebサイトはこちら