2019年3月12日、明星学苑・明星小学校にて、4年生の「かんたんな割合」でプログラミングを使った授業を行いました。今年度、明星学苑・明星小学校とベネッセコーポレーションは、算数の授業にプログラミング教育を導入すれば、児童がわかりにくい概念をより理解しやすくできるのではないかという目的のもと、共同研究を進めています。

本単元は、現行学習指導要領では5年生で履修する割合を、新学習指導要領では、割合が整数で表される簡単なものに限って4年生で履修することになったものです。

かんたんな割合の意味理解のために、プログラミングを導入

授業者の平井哲先生は、割合が苦手になるのは、文章問題の意味を読解して「もとにする量」を理解できないことにあるとの仮説を抱いていました。割合はわり算で求めますので、もとにする量が把握できなければ、きちんと立式できないことになります。割合の意味を理解し、正しく立式できる力を育成したいという思いから、この教材が生まれました。

(図1)

(図1)に示すように、スクラッチ教材では、問題1~4まで、4種類の問題がランダムに出題されます。問題1は、「●cmの平ゴムをいっぱいまでのばしたところ、▲cmまでのびました。同じ平ゴム〇cmをいっぱいまでのばしたら、何cmのびるでしょうか」という問題群です。もとにする量が与えられたときに、他方のくらべられる量を求めます。
学習活動は、1)文章を読解して、くらべられる量やもとにする量に数値をプログラミングする、2)その入力に基づいて図が描画される、3)未知数を求めるための式をプログラミングする、4)プログラミングされた式のとおりに未知数が算出される、という4つの思考過程から成り立ちます。つまり、文章読解して、必要な数値を取り出し(抽象化)、図に表現し、立式するというプロセスです。文章、図、式で表現された数値をそれぞれ対応させられるようになることを狙いとしています。

文章問題を読んで、必要な数値を取り出してプログラミングする

(図1)の場合、同じのび方で、長さの違う平ゴムAとBがあるときに、同じ割合でのびるということを前提として、平ゴムAののび方から、平ゴムBののびた長さを求めます。

(図2)

必要な数値は、(図2)のようになります。このとき、立式も考えて、意図的に、くらべられる量をもとにする量の上に配置しました。もとにする量に対してくらべられる量がある、という分母(わる数)と分子(わられる数)の関係がわかるようにしたのです。

(図3)

未知数を求めるための式をプログラミングする

「図のプログラミング完了」ボタンを押すと、(図3)のような図が描画されます。このときも、もとにする量が下に配置されるようにしています。プログラミングした通りに数値が表示されるので、未知数のところは空欄になっています。

(図4)

(図3)を見て、20cm⇒80cmに変化したので、20×4=80なので、4倍のびた、という答えが自然に児童から出ました。また、別の児童は、4は80÷40で求めたよ、と意見していました。これらの発言をとらえて、

もとにする量×割合=くらべられる量

くらべられる量÷もとにする量=割合

と板書されました。

(図5)

「式のプログラミング完了」ボタンを押すと、式をもう一度確かめるように促され、最後に「たしかめる」ボタンを押すと、(図5)のように答え合わせができます。

緑の旗を押すと、かんたんな割合の問題がランダムに出題されますので、何度も繰り返し練習することができます。

プログラミングの結果エリアの左下の数字が書かれたボタンをクリックすると、問題番号が変わります。問題2は、もとにする量と割合が与えられた場合、問題3は、割合と比べられる量が与えられた場合、それぞれ未知数を求める問題になっています。未知数は違っても、構造は同じなので、図のどこが未知数になるのかを考えながら、割合の概念を理解することができます。

授業でも、問題1~3を自由に解くように指示され、児童はそれぞれのペースで取り組みました。

正誤判断とその理由を考える

問題4は、(図6)に示す通り、太郎さんの言い分を聞いて、正しいかどうかを判断し、その理由を答える問題です。

(図6)

この問題では、平ゴムAは10cmから40cmまでのび、平ゴムBは30cmから60cmまでのびたので、どちらものびる前と後の長さの差が30cmなので、のび方は同じだと言っている太郎さんの意見の正誤を考えます。かんたんな割合で差が一定の問題をランダムに出題できるように条件設定して、問題作成のプログラミングをしています。プログラミング教材のよさのひとつです。児童は、問題1と同様に、プログラミングしながら、平ゴムAとBののびる割合を比較して、太郎さんの言い分の正誤判断を行います。

本授業実践を通じて、倍と割合は同じであること、かんたんな割合を考えることで割合の意味理解に集中できることなど、4年生のうちに割合をやる価値がわかりました。また、プログラミングを導入することで、構造が同じ問題を同じ図に帰着させることで、未知数が何になっても対応できる力が身につくのではないかと思いました。

この教材と指導案は、プロアンズでご参照いただけます。ぜひ、ご活用ください。お気づきの点やご感想など、問い合わせフォームからお知らせいただければ幸いです。改善のために参考にさせていただきたいと思います。